2011年 ジャンル別ベスト (ミステリ、国内・海外)
本年度は最終合計281冊とかなり読みました。ただし、内容を見ればお
解かりの通り、50歳を越えてこの先あと何冊読めるのだろうか、と逆算
して考えた方針、今年は読みたい本しか読まない!をかなり徹底した結果
だと思います。正直、国内ミステリだけ読んでいれば年間500冊も可能
だとは思いますが、そんなに読むべき本がないのも事実。
今年は小説は「ジェノサイド」とちょっと古いが「雷桜」、お勉強本は「
競争の作法」が代表作というところでしょうか。、
◆国内ミステリ
1、ジェノサイド 高野和明 (角川書) ☆☆☆☆★
2、アルバトロスは羽ばたかない 七河迦南 (創元社) ☆☆☆☆★
七つの海を照らす星 七河迦南 (創元社) ☆☆☆☆
3、折れた竜骨 米澤穂信 (創元社) ☆☆☆☆
4、新宿鮫Ⅹ 絆回廊 大沢在昌 (光文社) ☆☆☆☆
5、機龍警察 自爆条項 月村了衛 (早川書) ☆☆☆☆
6、神の棘 須賀しのぶ (早川書) ☆☆☆☆
7、連続殺人鬼カエル男 中山七里 (宝島文) ☆☆☆☆
8、屍 界 五條 瑛 (双葉社) ☆☆☆☆
次、最後の証人 柚月裕子 (宝島社) ☆☆☆☆
次、心に雹の降りしきる 香納諒一 (双葉社) ☆☆☆☆
次、鍵のかかった部屋 貴志祐介 (角川書) ☆☆☆☆
次、赤い糸の呻き 西澤保彦 (創元社) ☆☆☆☆
次、私たちが星座を盗んだ理由 北山猛邦 (講談N) ☆☆☆☆
「ジェノサイド」は敢えてミステリとした。また、本書が多くのベストで評価され
たのは喜ばしい。やはり、面白い小説、良く出来た小説はきちんと評価されるべき。
「アルバトロス」は一年遅れだけど、これまた驚愕の傑作。但し必ず「七つの海」
と併読ください。「折れた竜骨」は唯一の瑕疵さえなければ歴史に残る傑作になっ
ただろうに残念。この三作の緻密で丁寧な執筆スタイルにはリスペクトしかない。
皆川は今年もまた僕はダメだった。
★今邑祭13冊
1、よもつひらさか 今邑 彩 (集英社) ☆☆☆☆
2、「死霊」殺人事件 今邑 彩 (光文文) ☆☆☆☆
3、「裏窓」殺人事件 今邑 彩 (集英文) ☆☆☆☆
次、盗まれて 今邑 彩 (中公文) ☆☆☆☆
★永井祭10冊
1、欲しい 永井するみ (集英社) ☆☆☆☆
2、ランチタイム・ブルー 永井するみ (集英文) ☆☆☆☆
3、隣 人 永井するみ (双葉文) ☆☆☆☆
次、ボランティア・スピリット 永井するみ (光文社) ☆☆☆☆
次、天使などいない 永井するみ (光文社) ☆☆☆☆
★貫井祭14冊
1、プリズム 貫井徳郎 (実業日) ☆☆☆☆
2、光と影の誘惑 貫井徳郎 (集英社) ☆☆☆☆
3、愚考録 貫井徳郎 (創元文) ☆☆☆☆
次、後悔と真実の色 貫井徳郎 (幻冬舎) ☆☆☆☆
次、鬼流殺生祭 貫井徳郎 (講談文) ☆☆☆☆
★天藤祭11冊
1、大誘拐 天藤 真 (創元文) ☆☆☆☆☆
2、殺しへの招待 天藤 真 (創元文) ☆☆☆☆
3、陽気な容疑者たち 天藤 真 (創元文) ☆☆☆☆
次、遠きに目ありて 天藤 真 (創元文) ☆☆☆☆
次、皆殺しパーティー 天藤 真 (創元文) ☆☆☆☆
次、背が高くて東大出 天藤 真 (創元文) ☆☆☆☆
◆海外ミステリ
1、二流小説家 デヴィッド・ゴードン (HPM) ☆☆☆☆
2、エージェント6 トム・ロブ・スミス (新潮文) ☆☆☆☆
3、特捜部Q 檻の中の女 ユッシ・エーズラ・オールスン (HPM) ☆☆☆☆
4、ローラ・フェイとの最後の会話 トマス・H・クック (HPM) ☆☆☆☆
5、犯 罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ(創元社) ☆☆☆☆
次、ブラッド・ブラザー ジャック・カーリー (文春文) ☆☆☆☆
いつものように年末駆け込みで読んで、一応ベストの体裁は整った。確かにここ
数年に比べると昨年は傑作が多かったし、特にHPMの健闘は特筆ものであった。
しかし、勘違いしてはいけない。HPMや北欧ミステリだけでは、国内ミステリ
のファンや、最近クイーンやクリスティーを読んだだろう初心者を翻訳ミステリ
ファンにすることは難しいだろう。結局ここ数年のジリ貧=マニアックな作品の
横行(これはかつてSFがたどった辛い道)によるライトファンの翻訳ミステリ
離れを打開するには、これでは全然ダメだろう。「二流小説家」は傑作だけど、
この面白さはすれっからしのマニア向け。「犯罪」なども初心者が読んだら途方
に暮れてしまうのではないだろうか?今更パズラーとは言わないが、コナリーに
続く王道のヒーローがあと数人出てこないと挽回は難しいだろう。カーリーにも
っと頑張って欲しかったなあ。