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2015年 8月に読んだ本

●7275 この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドンキホーテのピアス17(エッセイ)鴻上尚史(扶桑社)☆☆☆☆

 

 

相変らず営業的には苦戦しているようだが、何とか17も上梓された。13-15年前半のSPA!連載分で、読み終えて、改めて今は激動の時代と強く感じた。

このエッセイも当初は鴻上の社会分析の鋭さ、先見の明が売りだったのに、何となく沖縄を始めとした、ややまったりとした日常がテーマとなり、そして今回は鴻上がかなり時事問題にコミットメントしている、いやぜざるを得ない。

「不謹慎を笑え」「不安を楽しめ」から今回の題名に、著者の祈りのようなものを感じてしまい、同世代としては彼の思いが良く解ってしまう。僕らは、大きな物語や絶対の正しさには、こりごりしているのだ。途中、何回か池上彰への絶賛が挟まるのも良く解る。

で、今回はひとつだけ大事なことが解ったので書いておく。スマホ(ネット)での情報収集が、なぜ駄目なのか。

新聞、雑誌、さらにはTVですら、その中の情報は自分の興味のないものが多数含まれている。そして、つい?そういう情報にも目が行ってしまい、たまにそこから気づきが生まれることもある。しかし、スマホは究極の媒体であり、史上初の自分が興味のある情報だけを読み続けることができる媒体なのだ。

毎日、自分の気に入った、ようは自分と同じ考え方、思想の情報ばかり、読みふける。そう、こんな怖いことがあるだろうか。そして、そうやって自家中毒化した頭に、突然気に入らない意見が侵入したら、一発炎上。これが、ネットにおける強烈な違和感の根本原因(のひとつ)だったんだ。こうやって、動物化はどんどん進む。

 

 ●7276 生還者 (ミステリ) 下村敦史 (講談社) ☆☆☆
 
生還者

生還者

 

 

「闇に香る嘘」に続いて「叛徒」も、テーマや文体は悪くないのだが、センスの欠如い
 うか、リアリティーが足りなくて、見放すつもりだったのだが、第三作の本書も設定(大規模山岳事故の生き残りの証言が食い違う)が魅力的で、つい読みだした。

で、今回も同じだった。ストーリーは面白く、一気に読んでしまったのだが、リアリティー、必然性を無視して語られるので、途中から嫌になってしまう。

まあ、ある男が、大規模事故から三回続けて自分だけ助かる、という偶然は(認めたくないが)認めるとしよう。しかし、この殺人?動機はありえないだろう。無理がありすぎる。(しかも、根本的アイディアは過去にいくつも例があり、僕も途中でわかってしまった)

ラストのどんでん返し(これは驚いた)や、途中の伏線に光る部分はあるのだが、最後の結婚式も含めて、後半の増田と恵利奈の追跡行は、ありえない。警察はどうしたんだ!?というわけで、これできっぱり著者とは決裂。

 

●7277 王とサーカス (ミステリ) 米澤穂信 (創元社) ☆☆☆☆★

 

王とサーカス

王とサーカス

 

 

傑作。今年のベスト候補。去年、あちこちのベストで著者の「満願」が一位となったのは、米澤の作品をたぶん全部読んでいるファンとしては、複雑を通り越してかなり嫌であった。「満願」は、彼の作品の中でも下から数えた方が早い作品だし、「ノックスマシン」に続いて、またミステリファンを減らしてしまうのでは、と心配だった。

しかし、じゃ米澤のベストは何か、と問われても、なかなか答えにくい。本来なら協会賞をとった「折れた竜骨」なのだろうが、残念ながらこの犯人はダメ。後は完璧なのに。

とすると、欠点はあるのだが(前半の謎がしょぼい)最初に読んだ「さよなら妖精」のインパクトが一番強い。特にラストには涙が出た。ユーゴスラビア内戦に僕自身興味があったので、心に沁みた。

で、本書はその続編ということで、28歳になったフリーライター大刀洗万智が主人公だ。ただ、個人的には「さよなら妖精」は守屋路行とマーヤの物語だったので、大刀洗の印象がそれほど残っていない。

しかし、今回主人公が巻き込まれる、ネパールでの王族殺害事件は、現実の事件であり、そういう意味では「さよなら」の後半とつながっている。そして、そこで示されるのはこの11年の著者の成長だ。

文体、人物造形、そしてテーマの深化。(テーマは狭義はジャーナリズム、広義では生きる、ということだろう。そして、書けないがラスト、もうひとつのテーマが炸裂する)さらに、ミステリとしての緻密な伏線も素晴らしい。(これは、「折れた竜骨」あたりで、かなり完成していたのだが、今回も良く出来ている)

ラストの意外性(登場人物が少ないので、意外な犯人ではないが)も申し分ない。これで、米澤の最高傑作というには、もっと期待したいが、少なくとも「満願」でなく、本書に年間ベストをとってほしかった。

東京創元社も、今回は力が入ってハードカバーで、ひもの栞(名前あったっけ?)もついている。1700円はちょっと高いが、ぜひ売れてほしい。

 

●7278 もう一つの「幕末史」 (歴史) 半藤一利 (三笠書) ☆☆☆☆

 

もう一つの「幕末史」

もう一つの「幕末史」

 

 

冒頭の西郷が「攘夷」を、「ありゃ手段じゃ」と言い切るエピソードに魅かれて(ここまではっきり書いた文章に記憶がない。これこそリアリスト西郷の真骨頂か)読みだしたが正直もう一つ、は看板に偽りありだと思う。

僕は半藤の分厚い「幕末史」も「それからの海舟」も読んでいるので、本書の内容に新しい知識はほとんどなかった。(西南戦争前に西郷が行った改革は、ここまできちんと理解していなかったが)

それでも、いつものキレのいい講談調で、幕末史ダイジェストとして面白く一気に読んだ。半藤はご存じのとおり、長岡にルーツを持つ江戸っ子なので、反薩長史観である。司馬遼太郎のおかげで、長州贔屓になってしまった、西国の田舎者である僕とは、ちょっと合わない。とずっと思ってきた。

(例えば、本書で一章を与えられた長岡の英雄、河井継之助をどうしても好きになれないし、会津藩の抵抗も申し訳ないが古臭く感じる)

しかし、僕もまた幕末における最大の人物は勝海舟だと思うし、龍馬暗殺の黒幕は薩摩だと感じたり、半藤幕末史の影響をかなり受けていることに今回改めて気づかされた。半藤の長いあとがきが心に沁みた。

「考えてみると、非戦憲法を基軸に高度成長を国家目的として、長いこと国際政治からの不在といった戦後史を引っ張ってきたのですから、自国以外の国家のいろいろな動きを想像する能力を日本人はみんな失ってしまっているのかもしれません。しかも、戦後教育のせいで、『歴史を知らない国民』になっている」

 

●7279 コミュニケーションのレッスン (社会学) 鴻上尚史(大和書)☆☆☆☆★

 

コミュニケイションのレッスン

コミュニケイションのレッスン

 

 

ドンキホーテ」で紹介されていて、読んでないと図書館で借りてきたのだが、なかなか手が出なかった。

というのも、鴻上は脚本やエッセイの外に「発声と身体のレッスン」「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント」「『空気』と『世間』」という三冊の本を出していて、どうやらその集大成ということのようなのだが、三冊とも読んでるし、「世間」はそんなに面白くなかったしなあ(だいたいこれじゃ、阿部勤也と山本七平のパクリじゃないか)という感じだった。

申し訳ない。やはり本書は集大成で、ノウハウ部分にかぶりはあるが、コミュニケーション論を越えた、鴻上理論というか思想本のレベルだ。しかも、圧倒的に解り易く、説得力がある。「世間と空気」に「社会」というレベルを組み込んだ日本人論は本当に説得力がある。

何で、前は感心しなかったのかなあ。僕の問題意識の位置が変わったのか、鴻上もクールジャパン等々で進化したのか。外国人との比較がすごく説得力があるのだ。

世間の特徴として「共通の時間意識」をあげ、日本人が当たり前のように使う「これからもよろしくお願いします」は、英語に翻訳不可能なこと。社会に生きる欧米人は、当然未来を共有していないので、下手したら結婚したいのか?と誤解される(笑)

逆に「先日はごちそうさまでした」は、別に過去を共有していないので、あえて持ち出す話題ではなく、「またおごってほしいのか?」と思われる(驚愕)というのだ。本当、不思議の国の日本人である。

コミュニケーションとは「聞く」「話す」「交渉する」の3つであり、ネットによって若者の「交渉力」が落ちている。なぜなら、交渉力は「語りたい思い」と「伝える技術」のセットだったのに、SNS等々によって「語りたい思い」を書き込むだけで、満足してしまうようになった。会話のバトルが学生時代におきていないのだ。これは本当に良く解る。

その他、斎藤孝の「教育欲」がでてきたり(鴻上勉強している)秋葉原通り魔事件の犯人の悲しいコミュニケーションとか、色々語りたいことがあるのだが、そうこうやって書くだけで満足しないためにも、この辺でやめておく。

最後に、自分の武器は自分を客観視することから生まれる、という言葉には当然共鳴するが、そのためには最初は、自己イメージを修正してくれる他者が必要、ということはきちんと理論化できていなかった。今後はそれも忘れないようにしよう。

 

●7280 ビッグデータ・コネクト (ミステリ) 藤井太洋 (文春文) ☆☆☆☆

 

ビッグデータ・コネクト (文春文庫)
 

 

 

藤井の新刊が近未来サイバー警察小説で、文庫書下しというのは意外だったが、何と本の雑誌の上半期の一位を本書がとったのは、さらに驚きだった。(といっても、この数年本の雑誌のベストは全く興味がないし、もともと順位はいいかげんなものなのだが)

で、今回は「ジーンマッパー」も「オービタル・クラウド」も解らなかった(途中で投げ出した)北上おやじが、本書を絶賛しているのだ。IT業界の裏話がすごいと。

で、僕は、いや僕も先の二冊が完璧に分かったわけではないが、その新しさに瞠目して一気に読み切った。しかし、本書はIT部分が全然わからず、もっというと事件の全貌も良く解らず、かなり途中で苦労して、ずっとほおっておいたのを夏休みにこうして何とか一気に読んだ。

正直わからない部分はわからずにどんどん進んだため、どうにも犯人の動機が良く理解できなかった。(北上は本当に分かったのだろうか)しかし、後半裏切り者?が解ってからは、ノンストップで加速度がつき、ラストの大がかりな仕掛けに驚き、感心した。

近未来の最先端のサイバーミステリに、何と京都の祇園香具師の親分(90歳で、携帯も使えない)が登場し、冒頭から何度も張られていたある伏線が爆発するのである。

うまい。これにはまいってしまった。しかし、本当に藤井は新しく、ポケットがいくつもある。恐るべき新人だ。SFがうらやましい。

 

●7281 南の子供が夜いくところ (ホラー) 恒川光太郎 (角川書) ☆☆☆☆

 

南の子供が夜いくところ

南の子供が夜いくところ

 

 

(読む本がなくなって)困ったときの恒川、ということで図書館で借りてきた。まあ、題名も季節にあってそうだし。本書はプリーストの「夢幻諸島」シリーズではないが、トロンバス島という謎の島を巡る、連作短編集。

ユナやタカシといった各作品に共通のキャラクターもいるが、物語はゆるい、というかほとんど関連せずに語られるのだが、それでも恒川は読ませてしまうし、何かそのほうが本質的なものをぼんやりと描いている気もする。

そして、冒頭の表題作と最後の「夜の果樹園」だけは、きちんと?繋がっているのだが、まあ、その繋がり方が、恒川しか書けないだろう、とんでもない角度で繋がってしまう。

このあたり「雷の季節」を思わせるのだが、そういえば途中で一回だけ「オン」という場所が語られていた。というわけで、大傑作とは言わないが、相変らず恒川のハズレなし。

 

●7282 【映】アムリタ (SF) 野崎まど (MW文) ☆☆☆☆

 

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)
 

 

「Know」が予想以上に良かったので、最新刊の短編集「野崎まど劇場」を借りてきたのだが、これはダメ。ツツイに例えている人もいたが、とんでもない。これじゃ「アマチャズルチャ」。野崎は何と僕より12歳も年上で、若ぶってる?が、単なるおやじギャグ。

で一緒に借りた、デビュー作の本書も(メディアワークス文庫賞受賞作)手が出なかったんだが、読む本がなくなり、しょうがなく読みだした。

正直言って、学生、映画作り、天才少女、といった手垢のついたガジェットには引いてしまうし、何より相変らずの若作りオヤジギャグが気になってなかなか読み進めなかったのだが、そこを何とか読了してラストで驚愕した。

本書もやはり「Know」と同じ、トンデモ・オバカSFなのだ。しかも、極上の。前作は何となくイーガンと評したが、本書は間違いなくイーガン「しあわせの理由」映画バージョン・漫才編である。

正直、基本トリック?に説得力はないが、最後のどんでん返しの連続は、新本格的記述トリックであり、P・K・ディック的現実崩壊であり、それを美少女にやらせてしまいながらも、ラノベを越えて、ある意味めちゃくちゃ怖い。主人公が可哀想すぎる。

でもこのギャグのセンスは買わないが(何となく、東川篤哉を彷彿させるベタなギャグ)ラストの無茶な大技には感心してしまった。

どうやら、野崎のメディアワークスの作品は、全部で六作あって、最後はまたしても映画がテーマとなって、ループが閉じるという、ザ・ウォール的展開(懐かしい!)のようなのだが、図書館に最初の三冊しかないことに気づいた。ああ、本屋で手に入るのだろうか。

 

●7283 緑は危険 (ミステリ) クリスチアナ・ブランド (HPM) ☆☆☆☆
 
緑は危険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 57-1)

緑は危険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 57-1)

 

 

93年の本を予約したので、当然文庫版だと思っていたら、ボロボロのHPMだったのに驚いてしまった。しかも、初版は僕が生まれる前の58年、解説は都筑道夫。ブランドの諸作が文庫化されたのは、いつだったんだろうか。しかし、この小さくて読みにくい活字にはげんなり。

ひさびさの再読は、ミステリとしては、「ジェゼベル」や「はなれわざ」に比べると地味だが、伏線、ミスデレクションのてんこ盛りで、いかにもブランドらしいパズラーで、当時の僕が惚れ込んだのも解る。(いやあ、郵便配達の大がかりなミスデレクションには、やられました)

ただ、今回は上記のように物理的に凄く読みにくい上に、訳が良くない、というか当たり前だが古臭い。6人の密室劇のような展開にしては、キャラクターの描き分けがイマイチ。まあ、そもそも人物造形が俗っぽすぎるのだが。

というわけで、正直初読時の感動は感じられなかった。ああ、またひとつ夢が壊れる。しかし、43年の作品で、ドイツ軍の空襲時に被害者が運び込まれた病院で、推理合戦を行うという作品に、英国ミステリの伝統と我が国とのあまりに格差に愕然としてしまう。

 

●7284 白頭の人 (歴史小説) 富樫倫太郎 (潮出版) ☆☆☆☆

 

白頭の人

白頭の人

 

 

最近の著者の作品に、佐藤賢一と同じような、雑さとワンパターンを感じて、新刊予約をやめたのだが、二月に上梓された本書が半年で図書館の棚で入手できたので、案外僕の評価も間違いではないのかもしれない。

しかし、本書の冒頭はうまい。一気に引き込まれた。例の石田三成の三杯の茶のシーンに、三成の幼馴染として主人公大谷吉継も登場するのだ。そして、前半は軍配者シリーズを彷彿させるテンポの良さで、ぐいぐい読ませる。天才三成と凡人吉継を見事に対比させながら。

しかし、吉継を描く、ということは秀吉を描くことであり、関ヶ原を描くことであり、さらにはその病を描くことである。どう考えても、明るいカタルシスは望めない。敗戦と死は最初から約束されている。

正直、中盤から予想通り物語は現実の歴史に敗けて、失速し始める。しかし、そこを何とか踏みとどまって、最後まで完走した感じか。

そのために、作者が用意したのは、一般に喧伝された関ヶ原における吉継の勇猛さではなく、彼の底の知れない人の良さ、そして凡庸かつ巨大な器がもたらす魅力であり、夫婦愛である。正直、それはリアルを越えてファンタジーに近い。

それでも、この殺伐たる後半を、気持ちよく読み終えるには、こうせざるを得なかったのだろう。関ヶ原を思うとき、必ず輿に乗り頭巾を被った吉継の姿は必須だが、三成の刎頚の友、という以外に何をやったのかは、僕はよく知らない。まあ、たぶん一般的にもそうだろう。

そして、そのあたりを、凡庸なる天才として逆手にとった本書の戦略は、まずは成功したのではないか。しかし、吉継の娘が、あの真田幸村の妻であったとは全然知らなかった。

あと、これは著者の癖なのか、方法論なのか知らないが、歴史上の逸話がそのまま引用され浮いてしまう場合が時々ある。今回は、千人切り事件がそんな感じ。また吉継で一番有名な茶会で鼻汁を器に落としてしまったのを、三成が飲み干す、という事件は、今回は秀吉がそうしたという異説を採用しているが、時期的にそんなことを秀吉がするかなあ、という違和感があった。

最後に、本書のもう一人の主人公は、黒田官兵衛であり、その描き方に独特な解釈があり、まあ史実ではないだろうが、面白かった。

 

●7285 草 祭  (ホラー) 恒川光太郎 (新潮社) ☆☆☆☆

 

草祭

草祭

 

 

最近のマイブームである恒川作品だが、かつては本書しか読んでいなかった。とずっと思っていたのだが、どうもこれまた偽りの記憶のようだ。

冒頭の「けものはら」の内容の記憶はかなり明確にあるのだが(どこか「電脳コイル」を思わせる)残りの作品に全く覚えがない。たぶん、僕は「けものはら」を読んで、イマイチ地味で単調で、最後まで読まなかったのだと思う。当時は恒川のことが全然解っていなかったので、こんなテーストの短編集なら読まなくていい、と判断したんだろう。

しかし、今なら解る。本書に収められた五篇は、すべて美奥という村が絡んできて、登場人物も時々重なりながらも、時系列も違い、何より各作品のテーストが全然違いながらも、やはり恒川の作品と言わざるを得ない、作品集なのだ。

恒川は、ここでも圧倒的にユニークだ。ただ、今回はもう少し論理的なクロニクルが、バックボーンとして描かれた方が良かった気がする。「天化の宿」の天化というゲーム盤?など、圧倒的に面白いのだが、結局それの全体との関係は見えてこない。

まあ、これが恒川の作風と言われればお終いだが、本書もまた傑作ではあるが、もう少しで大傑作となったかもしれない、惜しい作品でもある。

 

 ●7286 トオリヌケキンシ (フィクション) 加納朋子 (文春社) ☆☆☆★
 
トオリヌケ キンシ (文春e-book)

トオリヌケ キンシ (文春e-book)

 

 

またしても短編集。ひさびさに著者の作品を読むが、この短編集(日常の謎、と言うべきかもしれないが、敢えてミステリとはしなかった)を読んで、著者の意図が良く解りすぎ逆に評価しづらくなった。

本書は、ひきこもりや共感覚、相貌失認、醜形恐怖症、といった、少し変わった病気(超能力?)の話が続き、著者らしいあたたかい物語となる。

しかし、冒頭の表題作のみが06年の作品で、あとの5作は13年以降である。ということは冒頭作品以外は、著者の実際の闘病後の物語であり、その経験が各作品に、重くのしかかっているように感じてしまい、エンタメとして単純に楽しめないのだ。

それが明らかになるのが、ラストの「この出口の無い、閉ざされた部屋で」である。本書のトリックは予想がつくが、ラストの哀切は強烈である。しかも、それを著者が語ると、ヒロインはオルターネイティブな著者の分身として、体が震えてしまう。

冒頭の作品と最後の作品が、ひきこもりで、見事に韻を踏んでいるのだが、最後に著者の仕掛けた爆弾が大爆発して、こちらも少し傷ついてしまう。この作品を、著者渾身の傑作と評する人がいてもいい。立派な人だと思う。ただ、僕は本書を気軽に楽しめるほど強くない。

 

●7287 月光のスティグマ (ミステリ) 中山七里 (新潮社) ☆☆☆

 

月光のスティグマ

月光のスティグマ

 

 

昨年の12月上梓の作品なので、これまた早めに棚でゲット。ただ、内容はかなり寒い出来。派手な作りと、スピード感で読ませるが、中身は通俗なラブストーリーであり、安普請の「白夜行」「幻夜」。

隣家に住む一卵性双生児の美少女が、二人とも主人公を好きになる、というあたりで物語はファンタジーなのだが、そこに関西大震災がかぶさり、16年後に再び東日本大震災に襲われるだけでも、いくらなんでも、なのだが、最後はアルジェリアでの人質事件、とくれば、いったいこの物語は何なんだ、と思ってしまう。

劇画でもここまでやったら、しらけるのではないだろうか。

 

●7288 果てしなき流れの果てに (SF) 小松左京 (ハル文) ☆☆☆☆

 

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

 

 

今年の夏休みの一週間で、結局12冊本を読んだが、最後は読む本がなくなり、浦和北図書館まで遠征して、最初は「日本沈没」(何と未読です)を手に取ったが、上巻しかなくついに本書を読みだした。

言わずと知れた小松左京の最高傑作であり、たぶん未だに日本SFのオールタイムベストを選ぶと一位になる可能性の高い、名作中の名作。なのだけれど、僕は学生時代に読んで、全く歯が立たず(冒頭の恐竜の場面と、ラストシーンだけは記憶があるが)いつか再挑戦しなければ、とずっと思っていた。

で、正直今回も苦戦したが、何とか読了し、ディティールはともかく、小松が何を描こうとしたかは理解できた。そして、1965年にこのような作品が描かれたという事実に驚愕すると同時に、正直小松の限界も感じた。(当時、SFマガジンに連載されたのだが、本書の次の連載が光瀬の「百億・千億」だったという。何と熱く、凄い時代だったのだろうか。同時体験したかった)

もちろん、解説で大原まり子が書いているように、本書の瑞々しさは、半世紀を経た今でも失われていない。そして、本書を乗り越えようと、小松は「ゴルディアスの結び目」を描き(これは、かなり成功し)最後に「虚無回廊」に挑んで、野々村のように挫折したのだろう。

小松の限界は2つである。これは「虚無回廊」にも言えるが、やはり中盤の描き方が人間臭すぎる。宇宙を、神を描こうとするならば、本来はレムのように人間を超越しなければいけない。(そういう意味では、神話や古代史を活用した光瀬の方が、はるかにうまい)

そして、本来なら大原が真っ先に怒らなくてはならないのだが、このラストは、あまりにも男性中心のステロタイプ、待つ母性である。(気持ちは解るが、やはり今は許されないだろう)

読みながら、最初の発掘シーンは、諸星大二郎の初期の諸作を想起した。諸星もまた、小松の影響を強く受けていたのかもしれない。

そして、未だ大原の言う、ワイドスクリーン・バロックの定義は良く解らないが、確かに本書を読んで僕は「イシャーの武器店」を思い起こし、さらにはベイリーの「カエアンの聖衣」ではなく、「時間衝突」をイメージした。

後者は本書の基本モチーフとよく似ており、その大胆(逆に言えばベイリーと同じく粗雑でもあるが)な奇想に驚き、冒頭の恐竜のシーンの意味も、今回は理解できた。(何で、最初は解らなかったのだろうか)

というわけで、時間はかかってしまったが、小松を理解するための宿題を何とかやった満足感はある。

 

 ●7289 砂の街路図 (ミステリ) 佐々木譲 (小学館) ☆☆☆★
 
砂の街路図

砂の街路図

 

 

 

確かに著者の今までのイメージを破った新作だが、その過去への眼差し、静謐なイメージは「代官山コールドケース」につながる気がした。

主人公岩崎は、母の死をきっかけに、北海道の架空の運河町を訪れ、20年前その街で突然溺死した、父親の謎を解こうとする。そして、その魅力的な時の止まった街に置いて、主人公はアーチャーのように、様々な人々から話を聞き出していく。

たった二日の濃密な時間。ある意味単調な物語を、一気に読ませる筆力は素晴らしい。しかし、ミステリとした場合「代官山」と同じく、物足りない。結局、謎は人々の証言によって、次々解かれていき、ここにミステリの論理のアクロバットはない。

そして、ついに明らかになる真相も、正直伏線はない上に、それほど面白くない。さらに、最後の展開も、僕は全く必然性を感じない。

たぶん、この物語を映像化すれば、素晴らしい作品になるような気がする。また、小説としても、読んでいる間は楽しめた。ただ繰り返すが、ミステリとしては高い評価をすることはできない。

 

●7290 死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死 (SFミステリ) 野崎まど (MW文) ☆☆☆☆★
 

 

アムリタに続く第二作より先に、第三作である本書が届いてしまったため、悩んだのだが結局読む本がなくなり、手を付けたら一気読み。

最初は、アムリタ以上にベタなギャグがなかなか堂に入っていて?まるで東川篤哉のミステリを読んでるみたいで(いや、本当野崎の正体は東川かと思うくらい。ラストのSF展開を鑑みれば、有り得ないのだが)最近東川を見放している僕としては、ひさびさの味。

しかし、途中で野崎、侮りがたし、の感を持つ。四角形、五角形のシーンは、「神狩り」の関係代名詞を思い起こすし、殺人の動機は、間違いなくホックの「長方形の箱」であり、その解決はイーガンの「貸し金庫」だ。凄い。

こんなシリアスかつ超科学的なネタを、東川流ベタベタギャグかつラノベ流女子高物語で展開されると、まさにワイドスクリーン・バロックラノベ編という感じで、クラクラくる。

相変らず、基本となるアイディアに科学的説明は全くないのだが、それ以降の論理的展開は、西澤もびっくり、のクリエイティブかつ緻密さ。いやあ、本当にびっくりだ。しかも、西澤の場合いくらSF的設定をとっても、本質はミステリであるのだが、野崎の場合は本当に解らない。

たぶん、どちらも詳しくて、両方のセンスがあるのだ。そして、そして、最後に炸裂する、お約束の?大逆転。今回も、シンプルなのにひっくり返ってしまった。まいりました。

しかし、今回野崎を求めて本屋周りをしたのだが、メディアワークス文庫が不思議な存在であることが良く解った。本屋によって、ラノベ扱いされている店と、普通の文庫扱いされている店に分かれるのだ。(だから、本当に探しにくい)

目玉のビブリア書店のせいで、そうなったのかもしれないのだが、もっと問題なのは、たぶん買い取り制のせいで、新刊しか在庫を持っていない店がほとんどで、バックナンバーが全然揃ってない点。

図書館、ブックオフ、本屋を駆け回っても、6冊中第四作「小説家の作り方」と、最終及び最高傑作とされる「2」が見つからない。どうしようか。

 

●7291 パーフェクトフレンド (SF) 野崎まど (MW文) ☆☆☆☆
 

 

というわけで?須原屋で見つけた本書を、売り切れないうちに慌てて買ってきた。しかし、情報によれば、本書は「2」の前の第五作で、番外編に近い作品のようなので、本来はまだ読むべきではないのだが、我慢できなかった。

本書の主人公は小学四年生の少女四人。テーマは「ともだち」。アニメっぽい表紙もあって、本来なら絶対に手を出さなかった本だろう。しかし、今回もまずベタベタなギャグで、3回くらい吹いてしまった。トムにはまいった!?(図書館で読んだので、声を我慢するのに苦労してしまった)

ただし、本書は今までの二冊(いやKnowをいれると三冊か)が、無邪気な残酷さを描いたのに対し、そんなに単純ではないが、基本はハートウォーミングな物語であり、そういう意味でも(ラストからも)やはり番外編に近い作品なのだろう。

しかし、結論から言うと、今回も傑作である。一気に読んでしまった。本書は「ともだち」を徹底的に論理的に分解・分析し、ついに友人定数と友人方程式が完成する。(このあたりは、ラングトンの人工知能のシミュレーションみたいで、バカバカしくも最高に面白い!野崎の勉強の方向性が、結構僕と似ていてうれしくなる)

そして、ヴィドゲンシュタイのように「ともだち」を徹底的に論理的に分析したものだけが「ともだち」が論理を超越することを理解するのである。

お約束の後半の怒涛の展開、リアルな超論理とリアリティーのない論理の、終わりのないリドルストーリーは、今までの作品ほど意外ではないが、これもまた間違いなく野崎印である。

そして、これまで読んだ四冊に共通するのが、超天才少女の存在。で、僕は本書のラストのオチ(素直に読めば、姉妹か母娘?)と「死なない生徒」のオチから、ある仮説を思いついてしまった。ひっとしたら、四人の天才少女は○○○○なのではないか、と。

それにしても、良く考えると、本書はある意味、究極の「セカイ系」SFだ。ラスト、思わず筒井の「エディプスの恋人」を思い起こしてしまった。

 

●7292 幻の黄金時代 (社会学) 西村幸祐 (祥伝社) ☆☆☆
 
幻の黄金時代 オンリーイエスタデイ'80s

幻の黄金時代 オンリーイエスタデイ'80s

 

 

副題:オンリーイエスタデイ80s,1980年代から透視する21世紀の日本。たまたま図書館で見つけた2012年の本で、調べたらネットでも高い評価なのだが、個人的にはイマイチのれなかった。

日本にとって絶頂に見えた80年代にこそ、失われた20年の原因があった、というのは塩野のローマ学と相似で、興味をひかれた。

しかし、本書で引かれる、村上春樹、ホンダF1、RCサクセション、等々に関する物語が、結局何が言いたいのか解らない上に、何か違和感があり、たぶんそれは作者が僕より7歳年上であることにあるような気がする。(特に著者が拘る伊勢丹のCMに関しては、全く記憶がない)

僕らは、あの狂乱の80年代ですら、著者よりもっと醒めていて、絶望と隣り合わせで踊っていた気がする。

少なくとも、文化・思想的には。そして、読み終えて思うのは、80年代の絶頂と、平成のどん底は、明治後半から大正の絶頂と、その後の暗黒の昭和と、本質的には何も変わらない、ということだ。

 

●7293 日本史はこんなに面白い (対談) 半藤一利 (文春社) ☆☆☆★

 

日本史はこんなに面白い

日本史はこんなに面白い

 

 

08年の本で、図書館で見つけて読みだしたが、まあ可もなく不可もなし。半藤とその道の専門家の対談が16収められているが、すごく面白かったのは、井上章一の「ヒトラー高橋克彦の「アテルイ嵐山光三郎の「芭蕉」このくらいか。

だいたい、対談の分量が少なすぎて、基本的に消化不良。本筋と違って興味深いのは、半藤が諸田玲子に、勝海舟の妹、順子を描くことを薦めているところ。(諸田は、その後実際に「順子」を上梓した。残念ながら、傑作とは言い難いが)

しかし、何かこの話、記憶がある。ひょっとしたら、この本も、再読かもしれないなあ。年は取りたくない。

 

●7294 小説家の作り方 (SF)  野崎まど (MW文) ☆☆☆★
 

 

さすがは、大都会東京、というわけではないが、丸善日本橋店で「2」をゲットしたと思ったら、返す刀?で八重洲ブックセンターで本書をゲットでき、図書館に予約している第二作と合わせて、全巻手に入れることができた。

で、やっぱり我慢できず、第四作の本書を読みだした。主人公の駆けだしの作家、物実(たぶん物理的な実体の意味)に、ある少女(またも天才?)から「世界で一番面白い小説」を思いついたので、小説の書き方を教えてほしい、というメールが届くところから、本書は始まる。

そして、小説教室が始まり「パーフェクトフレンド」の「ともだち」と同じく、小説=創作ということが、徹底的に論理的に分析されるのだが、そこからの展開は今回は全く違う。

文系のシンギュラリティーというか、チューリングテストラノベバージョン、というか。ただ、今回はこちらも慣れたのか、今までに比べて驚きは少なかったので、少し厳しい評価とした。

そして、このラストは、どうやら「アムリタ」の映画につながる気がしてきた。「2」における著者の企みのフレームワークが少し見えた気がするのだが、野崎はそんなに甘くはないか。

いずれにしても、さいたま市中央図書館で「舞面真面お面の女」を借りている人、速やかに返却しなさい。

 

 ●7295  2 (SF) 野崎まど (MW文) ☆☆☆☆☆
 

 

信頼する「黄金の羊毛亭」氏が、「舞面真面」と「小説家」は、読んでなくても「2」を楽しめると書いていて、我慢できずについに最後の分厚い本書を手に取った。

で、読み終えて愕然。唖然。呆然。申し訳ない。僕の予想など遥かに超えた、著者の企みには感動するしかない。

本書には、過去5作の主要キャラクターが全員登場する。そして、そのキャラとストーリーが見事に融合した上に、お約束の大どんでん返しの連続。

たぶん読み終えると、誰もがいったい野崎はいつからこの全体構想を考えていたのか、と感嘆するしかない。ネットで確認する限り、「アムリタ」執筆時(すなわち、最初から全体構想があった)と、「パーフェクトフレンズ」執筆前、の二つの説があるようだが、僕は「羊毛亭」氏、と同じく後者をとりたい。

しかし、どちらにしても、この見事なストーリーには、ため息をつくしかない。今回もテーマは映画である。そして、この6冊は結局壮大なる「最原サーガ」であったのだ。

そして、ラスト、何と物語は「2001年」に肉薄する。正直、なぜ映画なのか?とか、神の領域を「2001年」のようにうまく処理できていない(人間臭い)とか、文句をつけようとするなら、瑕疵はあるのだが、ここまで伏線の回収が素晴らしいと、満点をつけるしかない。

しかし、本書を読むと「パーフェクト」のラストは、ハートウォーミングどころか、とんでもないダークストーリーに変わってしまうし、過去の作品を利用した、超ミステリ的トリックのつるべ打ちには、頭がクラクラした。

また、「死なない生徒」の伊藤先生が語る「進化論」が、本書のテーマである「創作」と「愛」の本質につながるシーンなど、鳥肌が立つ。しかも、何気に伊藤が生物の先生であったことが、効いてくるのだ。

とにかく、野崎は、ミステリ的センス抜群のハードSF作家であり、ギャグ作家という、何というか信じられない才能なのだ。まいった。こんな作家を見逃していたとは。

(しかも、昭和22年生まれとしていた経歴はギミックで、本当は78年生まれらしい。嗚呼)

そして、最後に思うのは、「2」というシンプルなタイトルの持つ、複雑な意味である。

 

●7296 なにかのご縁 (フィクション) 野崎まど (MW文) ☆☆☆

 

 

先日亡くなった鶴見俊介の座談本も、冲方丁の「もらい泣き」も、中途で掘り出して、朝の10時に須原屋で本書を購入、早速読みだした。それほど、深い野崎中毒に陥ってしまったのに、本書は何??

いや、別にひどい作品ではないし、面白いと思う人がいてもおかしくはない。しかし、この「ゆかり君とうさぎ」の「縁」を巡る、ハートウォーミングな短編集は、予想はしていたが、「最原サーガ」とあまりにテースト、いや内容が違う。

最後まで、何か仕掛けがあると期待したのだが、結局なにもないのだ。そう普通の学園小説、いやうさぎがしゃべるからファンタジーか。これが同じ作家の作品か?と思ってしまった。まあ文体はそんなに変わらないのだが。というわけで、相変らず野崎は驚かせてくれる。

 

 ●7297 もらい泣き (??) 冲方 丁 (集英社) ☆☆☆☆
 
もらい泣き

もらい泣き

 

 

本書が文庫化されたことで、こんな作品があったんだと気づき、本体をゲット。だが、ジャンル分けが難しい。どうやら、エッセイということなのだが、内容は著者が「泣けるはなし」を色んな人から聞いて、まとめ直す、という形式らしい。

が、伊丹十三聞き書きと同じく、かなり著者の創作が入っている気がする。また、長さから言うと、ショートショート集だろうが、そう言うにはちょっとイメージが違う。

で、読んでいて本書は三回姿を変えた。正直、最初は著者も模索の段階だったのか、全然泣けないし、のらなかった。(上記のように、いったん投げ出す)しかし、読む本がないので、無理して読んでいると、真ん中あたりで、とんでもない女性が連続し、主語が他者なのか著者なのか、わからない作品が続き、面白くなってきた。

何か、トーキングヘッズのビデオクリップのような、少しオフビートな奇妙な味だ。相変らず、泣けるはなしはひとつもないが。

そして、後半は大震災と重なってしまい、作風がシリアスになる。「ノブレスオブリージュ」で、背筋が伸び、「盟友トルコ」でついに、ウルウルきてしまった。

故郷の誇りである「エルトゥールル号遭難事件」の続きを、こうまで描いてくれれば目頭が熱くなる。ベタな話ではあるのだが。

著者の持つ、マルチな才能と様々な企み、とシンプルで太くて真摯、という相補性を、うまくなのか、結果的になのか炙り出した作品だと感じた。