2016年 11月に読んだ本

 ●7548 転落の街 (ミステリ) マイクル・コナリー (講談文) ☆☆☆☆

 

 

シリーズ前作「ナインドラゴン」は衝撃的だった。ネオ・ハードボイルド最後の戦士、といった感じの、あの重たかったボッシュシリーズが、ここまでハリウッド映画的に堕落?するか、と初期からのファンは驚いた。

そして、リンカーンシリーズばかりが訳され、コナリーもボッシュを描けなくなったのかと危惧してしまい、正直本書を読むべきか迷ったのだが、こういう時はすぐに手に入る。で、今回は大方の評価と同じく、かなりもとに戻った。

事件は現在の政治がらみと、過去の事件の二本立てのモジュラー。で、どちらもコナリーらしく考えられてはいる。ただ、結論から言うと何か足りない。ネタは明かせないが、どちらも消化不良なわりには、引っ張りすぎ。途中でネタが割れてからが、長すぎる。

そして、それ以上に、やはり最近のボッシュシリーズには、過去の重さ=陰影がない。のっぺりしている。イクメンボッシュなど見たくはない。というわけで、かなり甘い評価かもしれない。(欠点はそれほどないので、消去法でこうなった)

 

 ●7549 壁の男 (ミステリ) 貫井徳郎 (文春社) ☆☆☆★

 

壁の男

壁の男

 

 

ある人物(村の建物に稚拙な絵を描き続ける男)の過去をどんどん洗っていく、というプロットは、有栖川有栖の「鍵の掛かった男」と相似。そして、その過去の悲惨さは、貫井の「我が心の底の光」に通じるものがある。

というわけで、この物語を泣ける話として評価する人がいてもかまわないが、僕はもうこの手の悲惨な物語は読みたくない。特に子供と動物は、勘弁してほしい。

 

 ●7550 リーチ先生 (フィクション) 原田マハ (集英社) ☆☆☆☆

 

リーチ先生

リーチ先生

 

 

今回は分厚い作品。題名から、おいおい、原田が麻雀小説?阿佐田哲也伊集院静か?と驚いた(あきれた?)のだが、リーチの意味は陶芸家のバーナード・リーチということで(早とちりしてすまん)原田の芸術シリーズは必読と手に取った。

とは言っても、内容はNFに近いもので(主人公は架空のようだが)MOMAシリー
ズより「太陽の棘」のテーストか。

リーチをめぐる白樺派柳宗悦高村光太郎濱田庄司といった面々が、非常に魅力的に描かれており、僕は白樺派=おぼっちゃまの道楽?的な印象を勝手に持っていたので、その欧米をも上回る先鋭さと守備範囲の広さに、驚いてしまった。(リーチ=英国人が知らない、ゴッホセザンヌをいち早く絶賛。その熱い芸術論に引き込まれる)申し訳ないが、白樺派の印象が180度変わってしまった。

しかし、厳しく言うと、物語としての面白さはそれほどなく、新聞連載ということもあり分厚いのだが、その魅力は実在のキャラクターに頼っている。しかも、本来は名もなき地上の星として、ヒーローにならなければならない、架空の主人公亀之介が、イマイチ輝かないんだよねえ。

でも、今回もネットの力は素晴らしく、登場する人物や何より陶器をビジュアルで確認しながら読み、日本の庶民の美というものに、ほんわり暖かくなってしまった。というわけで、これまた少し甘い採点。

 

 ●7551 慈 雨 (ミステリ) 柚月 裕子 (集英社) ☆☆☆★

 

慈雨

慈雨

 

 

「孤狼の血」の大胆な作風の変化で驚かせた著者の新作は、かなり地味目の警察小説だった。とは言っても、主人公は引退と同時に、過去を償うため妻と四国お遍路の旅に出た元刑事なのだが。

ところが、お遍路中に、現実に事件が起きてしまい、それが主人公神場の過去の冤罪事件と絡む、というのは、やはりいくらなんでもご都合主義。娘やその婿である刑事という設定も、ここ三冊くらいかぶっていて、いいかげんにしろと言いたくなる。

さらに、マニア的に言うと、ここで使われるトリックは、古典的短編やハードリーチェイスの「世界を俺のポケットに」等々で、既に使い古されたもの。(たぶん、アニメ・ルパン三世でも何度も使われたのでは?)これに、警察含めた登場人物が全員驚いては、しらけてしまう。

と、かなり貶したが、もちろん著者の筆力は確かで、それでも一気に読ませる。ただ、薬丸の「ラスト・ナイト」と比べると、どちらもオリジナリティーはないが、その語り口に薬丸に一日の長を感じてしまう。また、やっぱりこのおやじ、自分勝手な気がするなあ。

 

 ●7552 ゴジラエヴァンゲリオン (評論) 長山靖生 (新潮新) ☆☆☆★

 

ゴジラとエヴァンゲリオン (新潮新書)

ゴジラとエヴァンゲリオン (新潮新書)

 

 

たぶん「シン・ゴジラ」公開に合わせて上梓された、「戦後SF事件史」のスピンアウト本。ゴジラに関しては、僕は生れたタイミングが良くなく、子供だましのイメージが強い。まだ、ガメラの方が良い印象がある。

で、本書を読み、こんなに多くのゴジラ映画があるんだ、と驚いてしまった。そして。エヴァ。ひさしぶりに、そのストーリーをたどって、楽しい時間をすごした。しかし、厳しく言うと、新しい情報は皆無。(当初のエヴァの映画化案が、「進撃の巨人」に似ていた、というのは面白かったが)

まあ、楽しめたからそれでいいのだけれど。そして、著者の言う僕らの世代への、特撮かアニメか、の究極の二者択一は、僕はアニメと感じる。特撮で、一番影響を受けたのは、「マグマ大使」かもしれないなあ。青血病が本当に怖かった・・・

 

 ●7553 脇坂副署長の長い一日 (ミステリ) 真保裕一 (集英社) ☆☆☆

 

脇坂副署長の長い一日

脇坂副署長の長い一日

 

 

やや復調とは言いながらも、相変らず模索が続く真保の新作は、題名と表紙からわかるように、ジェットコースター・モジュラー警察小説、らしい。

冒頭から主人公脇坂の家族(妻と息子)の謎の失踪?部下の仮病&バイク事故&やっぱり失踪、地元出身のアイドルの一日署長の日に、次々と起きる何だか間の抜けた事件の数々。

そして、そのアイドルがとんでもない行動をとり、さらにはとんでもない、等々ととんでもない事件が続く。最初のうちは、こういう偶然が偶然を呼ぶミステリが嫌いな僕も、さすが真保、定型の中で見事に定型を破っている、と喜んだのだが、だんだん、それらの事件がひとつに収斂してきてしまい、いくらなんでもご都合主義と今度もまた叫んでしまった。

そして、何より問題なのは、このいくつもの事件が絡む複雑な犯罪の本質が、じつにつまらないことである。この犯罪は、ちっとも美しくないのである。で、今回もまた、主人公の娘の婿が刑事で、事件に絡むところが、いいかげんにしろ、となってしまった。このパターン禁止。

 

 ●7554 Dの殺人事件、まことに恐ろしきは 歌野晶午(角川書)☆☆☆★

 

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは

 

 

題名から、密室ゲームシリーズだと、ちょっと苦手、という意識が合ったのだが、そうではなく、本書は乱歩のパロディー?集で、「椅子? 人間!」「スマホと旅する男」表題作「お勢登場を読んだ男」「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」「陰獣幻戯」「人でなしの恋からはじまる物語」 の八編が収録されている。

この中では「お勢登場」と「人でなしの恋」は、読んだ記憶がないのだが、その他チョイスはGOOD。僕の乱歩の短編のベストは「押し絵と旅する男」であり、次点が「赤い部屋」だ。

で、冒頭の「椅子? 人間!」が結構面白く(一気に引き込まれ、人間椅子を忘れたのが正解)期待したのだが、残りは駄作とは言わないが、やや物足りなかった。全ての作品で、ハイテク?が使われるのだが、これがそれほど効果をあげていないのだ。

 

 ●7554 小説、君の名は。   (SF) 新海 誠 (角川文) ☆☆☆★

 

 
 ●7555 君の名は。Another Side(SF) 加納新太 (角ス文) ☆☆☆☆

 

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

 

TVで古館と新海の対談?を観て少し興味を持ち、何となく嫁さんと浦和パルコで映画「君の名は。」を観て、はまった・・・。

新海の作品は、「秒速5センチメートル」をTVで観たことがある。そして、その精密画のような絵と光のマジックに感動し、痛いまでの喪失のせつなさは感じたが、正直ストーリー展開がかなり勝手で解りにくく、モノローグの多用も好みでなく、さらに見ようとは思わずそのままだった。

で、今回はとにかく、まったく情報なしで観たのが大正解だった。正直いまさら「転校生」かい?と僕らの世代ならみんな思ったように僕も当然思い、全く興味を持たず見事に情報を遮断していたら、後半の展開に底が抜けてしまった。そうくるのか?

だから、もし幸い僕のように「君の名は。」の内容を全く知らない人は、この後の文章を読まずに、すぐに映画館に直行してほしい。この映画は、やはり大スクリーンで見るべきと思うので。

で、そうは言っても後半の展開には、一回見ただけでは納得できない?が結構浮かぶ。そこで、これまた評判のいい小説&アナザーストーリーを買ってきて一気に読んでみた。

小説の方は、新海自身が映画が完成する前に書いたようだが、読み易いが、内容的には映画とほぼイコールで、敢えて読む必要性は感じなかった。まあ、僕は映画を観て、読んだので、すべてのシーンがよみがえり、それはそれで復習を兼ねて面白かったのだが、映画を見ずに読むのはやめたほうがいいと思う。

そしてアナザーサイド。ここでは、三葉ではなく、1、瀧、2、テッシー、3、四葉、4、三葉の父(と母)、の四つの視点から、同じストーリーを語り直していく。とは言っても、それほど大したものではなく、これまたこの作品だけ読んでも、何も理解
できないだろう。

本書の特徴は(以下・映画ネタバレ)映画を観た人が誰でも感じるテッシー、何でそんな大それたことを簡単にやるんだ!と、結局ラスト何で助かったの?父親は何で、急に三葉を信じたの?という巨大な謎への回答が書かれていることである。

そうは言っても、前者はまだ説得力が足りない。ネットでも大絶賛なのは、三葉の父親の物語で、民俗学者として三葉の母親の二葉と出あい、宮水家に婿入りし、二葉の死によって、宮水家を出て、市長選に打って出る父親の思いと行動が、映画のやや拍子抜けのラストの裏の物語として、見事に補完機能を果たしている。

正直、この物語は後付かもしれないし、映画に盛り込むと理屈っぽくなり、ストーリーの流れが崩れるかもしれない。でも、映画に感動した人は、ネットでもいいからこのサイドストーリーを読むべきだと感じた。(何か、碇ゲンドウ・小市民バージョンのような感じがした)

というわけで、冷静に考えると、新海、ちょっと川村元気に毒されすぎだぞ、作家性の危機、という気も少しするが、いやいやこれこそが、ポスト・ジブリのシン・アニメの王道だ、という気もする。というか、これほどアニメに興奮したのは、社会人一年目、富山の映画館で木村と「ナウシカ」を観たとき以来かもしれない。

 

●7556 また、桜の国で (フィクション) 須賀しのぶ (祥伝社) ☆☆☆★

 

また、桜の国で

また、桜の国で

 

 

「革命前夜」が予想以上の傑作だったので、須賀の分厚い新作にも大いに期待した。今回もまた第二次大戦下の欧州が舞台だが、ポーランドというところがミソか。しかし、残念ながら期待はかなわなかった。

もちろん、駄作というわけではないのだが、主人公の棚倉、そしてヤンとイエジという三人がメインなのだが、イマイチ人物造形が単純で、感情移入しづらい。そして、何よりストーリーが単調なのだ。

もちろん、ポーランドの悲劇を語る作者の筆には力がこもるのだが、エンタメとして観た場合、ちょっと力みすぎで、空回りを感じてしまう。正直、長すぎて、まじめすぎるのだ。

 

 ●7557 横溝正史読本 (企画) 小林信彦編 (角川書) ☆☆☆☆☆

 

横溝正史読本 (1976年)

横溝正史読本 (1976年)

 

 

偶然、いやシンクロニシティーはあるものだ。NHKで「獄門島」のリメイクをやるということで、その前に横溝の角川映画を毎日放映していて「手毬唄」「犬神家」を観た後、図書館で本書を見つけた。

小林が編集した「横溝正史読本」というのは、高校時代に幻影城から上梓されたのを買って読んだ記憶があるので、その本と思ってパラパラめくったら、どうも内容が違う。横溝と小林の対談が全体の半分を占めるボリュームがあるのだ。

詳細はまだ分からないが、本書は別物で角川からでていて、時期は76年で、「犬神家」によってブームが大爆発する前夜、とでもいうべきタイミングだ。そして、その対談のレベルの高さに驚いてしまった。

もちろん、小林の博学は当然で、それがまた事前勉強をしているのだから(対談前夜に二時半まで「獄門島」を読んで、寝不足状態)すごいにきまってるし、冒頭で横溝も小林の姿勢に大いに感謝している。たぶん、小林は当時40歳前後で、いまやこんな評論家は絶滅だろうなあと思う。

しかし、今回驚いたのは、横溝正史の博学、というかミステリ力の凄さにある。(「Yの悲劇」の評価など完璧で、だからこそ「きちがいじゃが」が生まれたのだ)そして、そうか横溝もまた、小林と同じく作家であると同時に、雑誌編集長(新青年、他)だったことを、思い出すのだ。この二人の本質は、相似なのだ。だからこそ、こんなレベルの高い対談が実現したのだ。

戦後日本のミステリ文壇は、評論の乱歩と実作の正史が引っ張ったとずっと思っていたし、もちろんその通りである。しかし、正史にもこんなレベルの高いミステリ論があり、それは乱歩との交流によって常に互いに刺激を与えてきたのだ。しかし、今時原書でミステリをここまで勉強する作家が、どこにいるだろうか。

戦後、「本陣」「蝶々」「獄門島」が続いて上梓された時が、日本ミステリのひとつのスタートであり、ひょっとしたらピークだったかもしれない。歴史的意義の「本陣」、完璧な様式美の「獄門島」、そして実は中学時代一番面白く感じたのは「蝶々」だったのだが、この三冊の比較が面白い。

ああ、「幻影城」といい、本書といい、日本ミステリは二人の巨人によって、戦後すぐにここまでのレベルに到達し、未だにそこからのがれられていないのかもしれない(どうやら、僕が読んだのは「横溝正史の世界」という幻影城の別冊ムック本で、小林は関係していないようだ。このあたり、小林の乱歩本と混乱しているかもしれない)

 

●7558 セカイからもっと近くに (評論) 東 浩紀 (東京創) ☆☆☆☆

 

 

副題:現実から切り離された文学の諸問題。東が、新井素子法月綸太郎押井守、そして小松左京の作品をもとに、現代における想像力と現実の折り合いの悪さ、自己と社会の結びつきの不毛さを、セカイ系の限界として描いた作品。東はラカン分析の「想像界」「現実界」「象徴界」を援用し、セカイ系の小説群を「想像界現実界が短絡し、象徴界の描写を欠く」と定義するが、これはわかりやすい。

そして、それは「象徴界」=社会、政治を描いてきた(たとえば「日本沈没」)小松の諸作とセカイ系の作品の対比によってより明らかになる。僕らはもはや、特に震災後は、社会を堂々と描くことは難しい。そして、日本沈没のリメイク映画は、見事に社会を描かない。(そういう意味では、「君の名は。」はセカイ系であり、「シン・ゴジラ」はその確信犯的反動といえるのかもしれない)

しかし、小松の作品だけでなく、日本SF最高傑作とされる「果てしなき流れの果てに」は、そのスケールの大きさから社会を描くことは不可能で、その物語は見事にセカイ系と言える。小松は、逆説的にセカイ系ともつながってしまったのだ。

そして、小松の作品における、あまりにも古くさい女性像とマザコン的感性。しかし、東はSFという存在をピュアに受け止め、小松へのリスペクトも強く感じる。何より取り上げる作品が「神への長い道」「ゴルディアス」「虚無回廊」と非常に僕好みである。まあ「虚無回廊」は未完であり、小松の弱点をさらけ出してしまった作品でもあるが。

しかし、本書を読み終えて、いや最初からずっと、本書には東のあきらめと疲れが充満している。だからこそ、最後の文芸評論と冒頭に宣言したのだろう。東の疲れは、時代の疲れであり、少し先輩の僕も共有するものだ。

新井や法月の分析も面白いのだが(押井はまたか、という感じ。新井の「絶句」を読みたくなった)ここは、小松を中心に語ってみた。

 

 ●7559 僕が愛したすべての君へ (SF) 乙野四万字 (早川文) ☆☆☆☆
 ●7560 君を愛したひとりの僕へ (SF) 乙野四万字 (早川文) ☆☆☆☆

 

 

平行宇宙というものが、科学的に立証された未来、人は腕に巻いたIP端末で、今自分がどの世界にいるかを確認できる。元の世界が000であり、人は自然に001の世界や003の世界と短時間入れ替わり、時にはかなり離れた世界(登場人物がかなり変わっていたりする)に長時間滞在することもある。(新井素子に似た設定の作品があったな)

そういう世界で、平行世界を研究する科学者の息子と娘が主人公の、もちろん別の平行世界の物語、いやラブストーリー。「僕」の主人公は高崎暦(れき)であり、「君」の主人公は日高暦(こよみ)。そして、双方のヒロインが、別人であるところが、ミソ。

ネットでは読む順番が論争になっており、「君」→「僕」が優勢だが、僕は逆に読んでしまった。確かに、「君」→「僕」だと伏線がうまく回収される気がするが、小説としては「僕」の方がよくできている。

和音に比べて栞にちょっと魅力が足りないこともある。(まあ、おばかすぎるのだが)しかし、読み方は逆だったかもしれないが、もう一度「僕」のラストを読み返すと、ある意味定番のラストが、非常に丁寧に書き込まれていて、うれしくなってしまう。

このラストは「時をかける少女」から「君の名は。」まで続く、時間SFの王道だが、ここまで書いてくれると満足するしかない。「名のるほどの者ではありません。」には苦笑。

著者は全く知らないラノベ系の人らしいが、野崎の「Know」と同じく話題になり、またもSF界には期待の新人の登場だ。実際、作風や文体も野崎に似ている。まあ、こっちは白野崎、という感じだが。(実はそうは言っても、両作ともにかなりきついストーリーがまっているのだが)次作に期待したい。

 

●7561 紙の城  (フィクション) 本城雅人 (講談社) ☆☆☆★

 

紙の城

紙の城

 

 

「ミッドナイトジャーナル」に続く、新聞社を舞台にした新作。ただし、今回はITの時代における、衰退する新聞業界というビジネスモデルがテーマとなっており、旧態依然たるプロ野球の新しいビジネスモデルを描いた、著者の最高傑作「球界消滅」のテーストも強くあり、期待は膨らむ。

ホリエモンをモデルにしたIT企業の風雲児轟木はTV会社を買収しようとしたが、方針を急遽変えてその子会社の全国紙東洋新聞の株を譲り受け、子会社化しようとする。その裏には、孫正義を思わせるIT業界の巨人、米津がいた。

というストーリーだが、主人公の安芸やヒロイン霧島、そしてダークヒーロー権藤、等々キャラクターは相変らず立っているし、得意の新聞社内部のディティール描写もうまい。

しかし、肝心のビジネスモデル、轟木がなぜ新聞社を買収しようとするのかが、最後までよく解らなかった。米津と権藤の意志は一応わかるが、それもまた弱いし、何より新しいIT時代の新聞の姿が、あいまいというか魅力がない。

ここが「球界消滅」と決定的に違う。「球界消滅」の新しいプロ野球のモデルは、非常に魅力的だった。そして、最後のオチも、こうくるか、という感じで、竜頭蛇尾に感じてしまった。読んでる間は面白いが、残念ながら小説としての出来は、やや物足りない残念な作品。

 

●7562 メイン・ディッシュ (ミステリ) 北森 鴻 (集英文) ☆☆☆☆

 

メイン・ディッシュ (集英社文庫)

メイン・ディッシュ (集英社文庫)

 

 

著者のデビュー作「狂乱廿四孝」は、期待が大きすぎたせいかあまり良い記憶がない。しかし、著者の「花の下にて春死なむ」という連作ミステリには、感心した。(ちょ
うど米国に向かう飛行機の中で読んだ)しかし、蓮丈那智シリーズが読みにくくなり、大作「蜻蛉始末」がイマイチで、すっかりご無沙汰していたら、何と著者が亡くなってしまった。

しかし、ネットの評価で読んでみた本書もまた、「花の下」と同じテーストの丁寧な連作集だった。読み終えて思うのは、北森と西澤の共通点である。(あくまで、ダークじゃない方の西澤)丁寧なロジック展開、キャラ立ち、そして何よりB級グルメ描写の冴え。

ひょっとしたら、北森にとって蓮丈シリーズは、鬼門だったのかもしれない。そうは言っても、本書は人間関係にすこし無理が多くて、傑作とは言いずらいが、このパターンならもっと読んでみたくなった。やや、甘目の採点。

 

 ●7563 あなたのいない記憶 (ミステリ) 辻堂ゆめ (宝島社) ☆☆☆★

 

あなたのいない記憶

あなたのいない記憶

 

 

このミス大賞受賞の作家の第三作。帯では、有栖川有栖大森望も絶賛、虚偽記憶というテーマも、結構好みなので(筒井の「鍵」や高橋の「赫い記憶」は大好物)早速手に取った。

まず、文章のうまさに驚いた。高知弁がちょっとうっとおしいが、流れるようにスムーズな文体は、とても24歳とは思えない。また、これまた予想通り、幼馴染が大学で再会し、タケシという人物のそれぞれの記憶が、全く食い違う、という発端も素晴らしい。

ただ、この謎解きが結構時間がかかり、中盤ややだるくなる。そして、ラスト。正直、こんな面倒なことしないでしょう、の感が強く、努力は分かるが、物足りなさが残る。このネタは中短編でないと、アラが目立つでしょう。タケシはともかく、両親の行動は納得できない。

で、実は本書はミステリと書いたが、殺人があるわけでもなく、ラストを読めば恋愛小説と言うべきかもしれない。そう、これはもっとシンプルに、中編でまとめれば、余韻の残る恋愛小説の傑作になったかもしれない。ただ、この作者は書ける。「完全なる首長竜」を思い起こした。次に期待。

 

●7564 比ぶ者なき (歴史小説) 馳 星周 (中公社) ☆☆☆☆☆

 

比ぶ者なき

比ぶ者なき

 

 

読み始めてすぐ思った。そう、こんな歴史小説を待ってたんだ、と。馳の新作が歴史小説というのは、過去の多くのミステリ作家の例を見ても驚きはなかった。陳舜臣のように歴史小説が本業になった作家もいれば、最近では垣根の「室町無頼」の成功が記憶に新しい。

しかし、馳の場合はやはり北方の影響を感じる。北方の「三国志」がそうであったように、本書において馳は説明的な地の文章を全く使わず、流れるような会話の中で、奈良時代という普通の人にはなじみの薄い時代背景を、見事に描くというはなれわざをなしとげた。

これほど、ストレスの少ない歴史小説はなく、よく考えれば合戦シーンも全くない。本書は、題名からわかるように、日本のグランドデザインを作り上げた天才政治家、藤原不比等とその妻の橘三千代を描いた、日本初と言ってもいい、躍動感あふれる歴史小説だ。

しかも、馳が描いたのは「政」の心理的駆け引きのみ。しかし、その裏には日本の歴史をねつ造し、天皇制=藤原時代を確立するプロジェクト、という不比等の圧倒的なスケールが描かれていて、感嘆するしかない。聖徳太子架空説の使い方も素晴らしい。(巻末の参考資料に大山誠一の著作が並ぶ)

正直、本書の文体から、あのエルロイ大好き馳のハードボイルドをイメージすることは不可能だ。しかし、三千代から持統、元明、元正、という三代の女性天皇の描き方は凄いとしか言い様がない。(大海人皇子鎌足の描写が少し物足りないが。中大兄皇子は、登場しないのに信長並みの存在感がある)

さて、本書の続編があるとするならば、長屋王の変、すなわち長屋王VS藤原四兄弟の戦いとなる。(しかも、天然痘つき)それは是非読みたいし、奈良時代となれば、道鏡まで描くのだろうか?

この時代を描いた作家は、黒岩重吾しか思いつかないが、僕は過去から結構興味があって勉強してきた。そして、やっとこんな素晴らしい小説に出会った。ぜひ、直木賞をとって、奈良時代の第一人者となってほしい。

 

●7565 村上春樹と私 (エッセイ) ジェイ・ルービン (東洋経) ☆☆☆★

 

村上春樹と私

村上春樹と私

 

 

村上春樹の翻訳者にして、傑作「ハルキ・ムラカミと言葉の音楽」の作者、ジェイ・ルービンの、村上春樹との具体的な付き合いを描いたエッセイ。なのに、ここには村上春樹の姿は、なぜかあまり感じ取れない。

冒頭の著者が編纂した芥川の短編集への村上の解説、などは非常に面白かったのだが、それも繰り返し語られるのはイマイチ。翻訳裏話としての、村上とのやりとりも、もっと面白く書けるんではないか、と感じる。

たぶん、著者はファンとして、必要以上に村上をリスペクトしてしまっているのだろう。途中とても面白かった、ニューヨカーに村上の短編が載った時の話や、村上の短編の朗読会の話が、ともに「ハルキ・ムラカミ」からの再録だったのには、ちょっとがっかり。しかし、東洋経済がこんな本を出すんだ?

 

●7566 伝える力 (ビジネス) 池上 彰 (PHP) ☆☆☆

 

伝える力 (PHPビジネス新書)

伝える力 (PHPビジネス新書)

 

 

07年の本で、14年度で何と124刷。ブーム前夜か、始まったばかりの頃か。NHKの週刊こどもニュースのことがよく出てくることからも、そう感じる。

ただ、内容は正直物足りない。個別に書いていることは、間違ってはいないけれど、驚きもない。そして、なにより全体の構成に、論理的な体系化を感じないのだ。

まあ、これは最近の池上の新書にも、良く感じる欠点だが。そのあたりは、やはり本職の斎藤孝あたりに、一日の長がある。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国内ミステリベスト5、(2010年~2016年)

●2010年

 

①スカウト・デイズ  本城雅人 

 

スカウト・デイズ (講談社文庫)

スカウト・デイズ (講談社文庫)

 

 


②隻眼の少女  麻耶雄嵩 

 

隻眼の少女 (文春文庫)

隻眼の少女 (文春文庫)

 

 


③熱 愛  香納諒一 

 

熱愛

熱愛

 

 


④誘 魔  五條 瑛

 

誘魔〈Old offender〉 (双葉文庫)

誘魔〈Old offender〉 (双葉文庫)

 

 

 

⑤追想五断章 米澤穂信 

 

追想五断章 (集英社文庫)

追想五断章 (集英社文庫)

 

 

●2011年

 

①ジェノサイド   高野和明 

 

ジェノサイド 上 (角川文庫)

ジェノサイド 上 (角川文庫)

 

 

 


②アルバトロスは羽ばたかない      七河迦南  

 

アルバトロスは羽ばたかない

アルバトロスは羽ばたかない

 

 



③折れた竜骨  米澤穂信  

 

折れた竜骨 下 (創元推理文庫)

折れた竜骨 下 (創元推理文庫)

 

 


新宿鮫Ⅹ 絆回廊  大沢在昌 

 

絆回廊 新宿鮫?

絆回廊 新宿鮫?

 

 

 
⑤機龍警察 自爆条項    月村了衛 

 

 

●2012年

 

①64   横山秀夫  

 

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

 

 


②機龍警察 暗黒市場   月村了衛 

 

機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)

機龍警察 暗黒市場 (ミステリ・ワールド)

 

 

 


③ソロモンの偽証  宮部みゆき 

 

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

 

 


④さよならドビュッシー  中山七里 

 

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

 

 

⑤希望の獅子  本城雅人  

 

希望の獅子

希望の獅子

 

 

 ●2013年

 

①幸  香納諒一 

 

幸 SACHI (ハルキ文庫)

幸 SACHI (ハルキ文庫)

 

 

 


②密室蒐集家  大山誠一郎 

 

密室蒐集家 (文春文庫)

密室蒐集家 (文春文庫)

 

 


③悪 党  薬丸 岳 

 

悪党 (角川文庫)

悪党 (角川文庫)

 

 

 
④やがて、警官は微睡む  日明 恩

 

やがて、警官は微睡る

やがて、警官は微睡る

 

 


⑤疫神(やまいがみ)  川崎草志  

 

疫神 (角川文庫)

疫神 (角川文庫)

 

 

●2014年

 

①神の子  薬丸 岳 

 

神の子(上) (光文社文庫)

神の子(上) (光文社文庫)

 

 


  
②夜また夜の深い夜  桐野夏生 

 

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)

 

 


③絶 叫  葉真中顕 

 

絶叫 (光文社文庫)

絶叫 (光文社文庫)

 

 



④眠りの庭  千早 茜 

 

眠りの庭 (角川文庫)

眠りの庭 (角川文庫)

 

 


⑤ナオミとカナコ  奥田英朗 

 

ナオミとカナコ

ナオミとカナコ

 

 

●2015年

 

犯人に告ぐ2  雫井脩介 

 

犯人に告ぐ : 2 闇の蜃気楼

犯人に告ぐ : 2 闇の蜃気楼

 

 


②王とサーカス  米澤穂信

 

王とサーカス

王とサーカス

 

 

 
③孤狼の血   柚月裕子 

 

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)

 

 


④さよなら神様  麻耶雄嵩 

 

さよなら神様 (文春文庫)

さよなら神様 (文春文庫)

 

 


⑤赤い博物館  大山誠一郎

 

赤い博物館

赤い博物館

 

 

●2016年

 

①悪魔を憐れむ  西澤保彦 

 

悪魔を憐れむ

悪魔を憐れむ

 

 


  
②真実の10メートル手前  米澤穂信 

 

真実の10メートル手前

真実の10メートル手前

 

 


   
③ミステリー・アリーナ  深水黎一郎

 

ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)

ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)

 

 


④800年後に会いに行く  河合莞爾

 

800年後に会いにいく (幻冬舎単行本)

800年後に会いにいく (幻冬舎単行本)

 

 

 


⑤虹を待つ彼女  逸木 裕 

 

虹を待つ彼女

虹を待つ彼女

 

 

 

 

国内ミステリベスト5、(2005年~2009年)

●2005年

 

①容疑者Xの献身  東野圭吾 

 

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

 


長恨歌         馳 星周 

 

長恨歌 不夜城完結編 (角川文庫)

長恨歌 不夜城完結編 (角川文庫)

 

 


イニシエーション・ラブ  乾くるみ

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 

 
さよなら妖精      米澤穂信 

 

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

 

 


⑤ニッポン硬貨の謎    北村 薫 

 

ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))
 

 

●2006年

 

①贄の夜会  香納諒一 

 

贄の夜会〈上〉 (文春文庫)

贄の夜会〈上〉 (文春文庫)

 

 

 
②OP ローズダスト  福井晴敏 

 

Op.ローズダスト(上) (文春文庫)
 

 

 
③乱鴉の島  有栖川有栖

 

乱鴉の島 (新潮文庫)

乱鴉の島 (新潮文庫)

 

 

 
④向日葵の咲かない夏  道尾秀介  

 

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

 

 


⑤制服捜査  佐々木譲  

 

制服捜査 (新潮文庫)

制服捜査 (新潮文庫)

 

 

 ●2007年

 

①女王国の城  有栖川有栖 

 

女王国の城 上 (創元推理文庫)

女王国の城 上 (創元推理文庫)

 

 


サクリファイス  近藤史恵 

 

サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)

 

 

 


赤朽葉家の伝説  桜庭一樹 

 

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

 

 

 


④首無の如き祟るもの  三津田信三 

 

首無の如き祟るもの (講談社文庫)

首無の如き祟るもの (講談社文庫)

 

 


⑤神話の島  久綱さざれ 

 

神話の島 (ミステリ・フロンティア)

神話の島 (ミステリ・フロンティア)

 

 

 ●2008年


①遠海事件  詠坂雄二  

 

遠海事件

遠海事件

 

 

 
②狂 血  五條 瑛  

 

 


③弥勒世  馳 星周  

 

弥勒世 【上下 合本版】 (角川文庫)
 

 


④リピート 乾くるみ  

 

リピート (文春文庫)

リピート (文春文庫)

 

 


⑤聖女の救済  東野圭吾  

 

聖女の救済 (文春文庫)

聖女の救済 (文春文庫)

 

 

●2009年

 

①Another  綾辻行人  

 

Another(上) (角川文庫)

Another(上) (角川文庫)

 

 


②水魑の如き沈むもの  三津田信三 

 

水魑の如き沈むもの (講談社文庫)

水魑の如き沈むもの (講談社文庫)

 

 


③黒百合  多島斗志之 

 

黒百合 (創元推理文庫)

黒百合 (創元推理文庫)

 

 


④新参者  東野圭吾  

 

新参者 (講談社文庫)

新参者 (講談社文庫)

 

 


⑤鬼の跫音  道尾秀介  

 

鬼の跫音 (角川文庫)

鬼の跫音 (角川文庫)

 

 

 

 

国内ミステリベスト5、(2000年~2004年)

●2000年

①スリー・アゲーツ   五條 瑛

 

スリー・アゲーツ 上 二つの家族

スリー・アゲーツ 上 二つの家族

 

 
②少年たちの密室   古処誠二

 

少年たちの密室 (講談社ノベルス)

少年たちの密室 (講談社ノベルス)

 

 


③大いなる聴衆   永井するみ

 

大いなる聴衆 (新潮ミステリー倶楽部)

大いなる聴衆 (新潮ミステリー倶楽部)

 

 


新宿鮫 風化水脈   大沢在昌

 

風化水脈 新宿鮫8?新装版? (光文社文庫)

風化水脈 新宿鮫8?新装版? (光文社文庫)

 

 


⑤オルファクトグラム   井上夢人

 

オルファクトグラム(上) (講談社文庫)
 

 

●2001年

 

模倣犯  宮部みゆき  

 

模倣犯1 (新潮文庫)

模倣犯1 (新潮文庫)

 

            
②邪 魔  奥田英朗 

 

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(上) (講談社文庫)

 

 

  
③ダーク・ムーン  馳 星周 

 

ダーク・ムーン〈上〉 (集英社文庫)

ダーク・ムーン〈上〉 (集英社文庫)

 

 

  
④闇先案内人  大沢在昌  

 

闇先案内人〈上〉 (文春文庫)

闇先案内人〈上〉 (文春文庫)

 

 

 
⑤そして、粛清の扉を  黒武 洋  

 

そして粛清の扉を (新潮文庫)

そして粛清の扉を (新潮文庫)

 

 

●2002年


半落ち  横山秀夫 

 

半落ち (講談社文庫)

半落ち (講談社文庫)

 

 


②誘拐の果実  真保裕一

 

誘拐の果実 (上) (集英社文庫)

誘拐の果実 (上) (集英社文庫)

 

 

 
③奇偶  山口雅也 

 

奇偶(上) (講談社文庫)

奇偶(上) (講談社文庫)

 

 


④ゲームの名は誘拐  東野圭吾 

 

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

 

 

 

⑤僧正の積木唄  山田正紀 

 

 

 ●2003年

 

①ワイルド・ソウル  垣根涼介 

 

ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)

 

 


第三の時効  横山秀夫 

 

第三の時効 (集英社文庫)

第三の時効 (集英社文庫)

 

 


  
③夢は荒れ地を  船戸与一

 

夢は荒れ地を (集英社文庫)

夢は荒れ地を (集英社文庫)

 

 

 
終戦のローレライ  福井晴敏

 

終戦のローレライ(1) (講談社文庫)

終戦のローレライ(1) (講談社文庫)

 

 



⑤君の夢はもう見ない  五條 瑛  

 

君の夢はもう見ない

君の夢はもう見ない

 

 

   

●2004年

 

①チルドレン  伊坂幸太郎 

 

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

 

 



②硝子のハンマー  貴志祐介  

 

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

 

 


犯人に告ぐ  雫井脩介 

 

犯人に告ぐ 上 (双葉文庫)

犯人に告ぐ 上 (双葉文庫)

 

 

 


④生首に聞いてみろ  法月綸太郎 

 

生首に聞いてみろ (角川文庫)

生首に聞いてみろ (角川文庫)

 

 


暗黒館の殺人  綾辻行人  

 

暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)

暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)

 

 

 

 

国内ミステリベスト5(1995年~1999年)

●1995年

 

蝦夷地別件  船戸与一

 

蝦夷地別件〈上〉 (新潮文庫)

蝦夷地別件〈上〉 (新潮文庫)

 

 

 

②鋼鉄の騎士  藤田宜永

 

鋼鉄の騎士 (新潮ミステリー倶楽部)

鋼鉄の騎士 (新潮ミステリー倶楽部)

 

 

 

③ホワイト・アウト 真保裕一

 

ホワイトアウト (新潮文庫)

ホワイトアウト (新潮文庫)

 

 

 

④七回死んだ男  西澤保彦

 

七回死んだ男 (講談社文庫)

七回死んだ男 (講談社文庫)

 

 

 

⑤金雀枝荘の殺人  今邑彩

 

金雀枝荘の殺人 (中公文庫)

金雀枝荘の殺人 (中公文庫)

 

 

 

●1996年

 

不夜城  馳星周

 

不夜城 (角川文庫)

不夜城 (角川文庫)

 

 

 

②海は涸いていた  白川道

 

海は涸いていた (新潮文庫)

海は涸いていた (新潮文庫)

 

 

 

③奪取  真保裕一

 

奪取(上) (講談社文庫)

奪取(上) (講談社文庫)

 

 

 

④悪意  東野圭吾

 

悪意

悪意

 

 

 

⑤雪蛍  大沢在昌

 

雪螢 (講談社文庫)

雪螢 (講談社文庫)

 

 

 

●1997年

 

①OUT  桐野夏生

 

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

 

 

 

②ガラスの麒麟  加納朋子

 

ガラスの麒麟

ガラスの麒麟

 

 

 

③奇跡の人  真保裕一

 

奇跡の人 (新潮文庫)

奇跡の人 (新潮文庫)

 

 

 

④鷲の驕り  服部真澄

 

鷲の驕り

鷲の驕り

 

 

 

スラムダンクマーダー・その他  平石貴樹

 

 

 

●1998年

 

①燃える地の果てに  逢坂剛

 

燃える地の果てに(上)

燃える地の果てに(上)

 

 

 

②密告  真保裕一

 

密告

密告

 

 

 

③三本の矢  榊東行

 

三本の矢〈上〉

三本の矢〈上〉

 

 

 

④三月は深き紅の淵を  恩田陸

 

三月は深き紅の淵を (Mephisto club)

三月は深き紅の淵を (Mephisto club)

 

 

 

⑤聖母の深き淵  柴田よしき

 

聖母(マドンナ)の深き淵 (角川文庫)

聖母(マドンナ)の深き淵 (角川文庫)

 

 

●1999年

 

バトル・ロワイアル  高見広春   

 

バトル・ロワイアル

バトル・ロワイアル

 

 

     

 

亡国のイージス  福井晴敏 

 

亡国のイージス(上) (講談社文庫)

亡国のイージス(上) (講談社文庫)

 

 

 

永遠の仔  天童荒太  

 

永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)

永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)

 

 

 

白夜行   東野圭吾  

 

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)

 

 

  

 

⑤柔らかな頬   桐野夏生   

 

柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)

柔らかな頬〈上〉 (文春文庫)

 

 

 

国内ミステリベスト5、(1990年~1994年)

●1990年

 

①天使たちの探偵  原りょう

 

天使たちの探偵 (ハヤカワ文庫JA)

天使たちの探偵 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

②頼子のために  法月綸太郞

 

頼子のために (講談社文庫)

頼子のために (講談社文庫)

 

 

 

③風少女 樋口有介

 

風少女 (創元推理文庫)

風少女 (創元推理文庫)

 

 

 

④炎流れる彼方 船戸与一

 

炎 流れる彼方 (集英社文庫)

炎 流れる彼方 (集英社文庫)

 

 

 

暗闇坂の人喰いの木 島田荘司

 

 

●1991年

 

①しゃべくり探偵  黒崎綠

 

 

 

時計館の殺人  綾辻行人

 

 

 

③ぼくのミステリな日常  若竹七海

 

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

 

 

 

④毒猿  大沢在昌

 

毒猿 新宿鮫2?新装版? (光文社文庫)

毒猿 新宿鮫2?新装版? (光文社文庫)

 

 

 

⑤砂クロニクル 船戸与一

 

砂のクロニクル 上 (小学館文庫)

砂のクロニクル 上 (小学館文庫)

 

 

 

●1992年

 

緋い記憶  高橋克彦

 

緋(あか)い記憶 (文春文庫)

緋(あか)い記憶 (文春文庫)

 

 

 

②ブルース  花村萬月

 

ブルース (カドカワノベルズ)

ブルース (カドカワノベルズ)

 

 

 

③双頭の悪魔  有栖川有栖

 

 

 

④哲学者の密室  笠井 潔

 

哲学者の密室 (創元推理文庫)

哲学者の密室 (創元推理文庫)

 

 

 

⑤殺戮に至る病  我孫子武丸

 

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

 

 

●1993年

 

ガダラの豚  中島らも

 

ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)

ガダラの豚〈1〉 (集英社文庫)

 

 

 

写楽百面相  泡坂妻夫

 

写楽百面相 (新潮書下ろし時代小説)

写楽百面相 (新潮書下ろし時代小説)

 

 

 

 

③BDT 掟の街  大沢在昌

 

B・D・T 掟の街 (角川文庫)

B・D・T 掟の街 (角川文庫)

 

 

 

震源  真保裕一

 

震源 (講談社文庫)

震源 (講談社文庫)

 

 

 

ナルキッソスの鏡  小池真理子

 

ナルキッソスの鏡 (集英社文庫)

ナルキッソスの鏡 (集英社文庫)

 

 

 

●1994年

 

①流星たちの宴  白川道

 

流星たちの宴 (新潮文庫)

流星たちの宴 (新潮文庫)

 

 

 

②東京異聞  小野不由美

 

東亰異聞(とうけいいぶん)

東亰異聞(とうけいいぶん)

 

 

 

③探偵竹花とボディピアスの少女  藤田宜永

 

ボディ・ピアスの少女 新装版: 探偵・竹花 (光文社文庫)
 

 

 

④一九三四年冬ー乱歩  久世光彦

 

一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)

一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)

 

 

 

⑤日曜の夜は出たくない  倉知淳

 

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

 

 

国内ミステリベスト5、(1986年~1989年)

●1986年

①虎口からの脱出  景山民夫

 

虎口からの脱出 (新潮文庫)

虎口からの脱出 (新潮文庫)

 

 

 

②背いて故郷  志水辰夫

 

背いて故郷 (講談社文庫)

背いて故郷 (講談社文庫)

 

 

 

カディスの赤い星 逢坂剛

 

 

カディスの赤い星〈上〉 (講談社文庫)

カディスの赤い星〈上〉 (講談社文庫)

 

 

 

④百舌の叫ぶ夜  逢坂剛

 

百舌の叫ぶ夜

百舌の叫ぶ夜

 

 

 

⑤雨はいつまで降り続く 森 詠

 

雨はいつまで降り続く

雨はいつまで降り続く

 

 

 

●1987年

①猛き箱舟 船戸与一

 

猛き箱舟〈下〉 (集英社文庫)

猛き箱舟〈下〉 (集英社文庫)

 

 

 

御手洗潔の挨拶 島田荘司

 

御手洗潔(みたらいきよし)の挨拶

御手洗潔(みたらいきよし)の挨拶

 

 

 

③逃れの街  北方謙三

 

逃がれの街 (集英社文庫)

逃がれの街 (集英社文庫)

 

 

 

④しあわせの書 泡坂妻夫

 

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

 

 

 

十角館の殺人 綾辻行人

 

十角館の殺人 限定愛蔵版

十角館の殺人 限定愛蔵版

 

 

 

●1988年

①そして夜は甦る 原りょう

 

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))

 

 

 

②ベルリン飛行指令 佐々木譲

 

ベルリン飛行指令(新潮文庫)

ベルリン飛行指令(新潮文庫)

 

 

 

③ぼくとぼくらの夏 樋口有介

 

新装版 ぼくと、ぼくらの夏 (文春文庫)

新装版 ぼくと、ぼくらの夏 (文春文庫)

 

 

 

ダブルスチール 藤田宜永

 

ダブル・スチール (角川文庫)

ダブル・スチール (角川文庫)

 

 

 

⑤五つの棺 折原一

 

七つの棺 (創元推理文庫)

七つの棺 (創元推理文庫)

 

 

●1989年

①99%の誘拐 岡嶋二人

 

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

 

 

 

②空飛ぶ馬  北村薫

 

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

 

 

 

③孤島パズル 有栖川有栖

 

孤島パズル 江神シリーズ (創元推理文庫)

孤島パズル 江神シリーズ (創元推理文庫)

 

 

 

④エトロフ発緊急電 佐々木譲

 

エトロフ発緊急電(新潮文庫)

エトロフ発緊急電(新潮文庫)

 

 

 

怪人二十面相・伝 北村想

 

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)